「あの……一つ質問が」

「はーい、なんでも聞いて良いわよ」

「今回も随分と期間が空きましたが、どういった理由なのでしょうか?」

「あはは……ごめんなさい。ちょっと寝坊しちゃったの」

「寝坊……盛大な寝坊ですね」

「あうぅ……ごめんなさい」

「いえ、私はそれほど気にしていませんから。それに、今更言っても詮のない話です」

「ふぁ~、菫ちゃん、優しいのね」

「……は? どこをどう解釈してその言葉が出てきたのでしょうか?」


「一条君との関係を説明しておいた方が後々のためです」         

「だって、このコーナーも菫ちゃんが率先してやってくれてるじゃない」 

「いえ、それは仕方なく……私だって菜々恵さんに言われなければやりませんでしたよ」


「えぇっ!? お、お母さんっ!?」

「ね、ねえ菫ちゃん、お母さんからなにを聞いてるの?」

「……喜多見先輩のことは言われていませんよ。一応は」

「一応じゃない部分は……?」

「喜多見先輩の人となりについて。一条君の姉代わり」

「うんうん、湊くんとは昔からずっと一緒だったのよ」   


「にもかかわらず、時折、年上らしからぬ行動をする」

「あうぅっ!?」

「カフェでウェイトレスをしている」

「仕事中は店長と呼ぶように言われているにもかかわらず、お母さんと呼んでいる」

「い、今はお仕事中じゃないから大丈夫よ?」

「コーヒーはブラックが飲めず、ミルクと砂糖を大量に投入している」

「の、飲み方は人それぞれで……」



「もう少し年上としての自覚を持って貰いたい」

「ごめんなさい……」

「いえ、私の意見ではなくて……菜々恵さんの言葉には、謙遜が含まれているのでしょう」

「それに、私は助かっていますよ。喜多見先輩のおかげで、
転入直後もすぐに馴染むことが出来ましたし」

「そうよね。すぐに湊くんと仲良しさんになれたものね」

「いえ、それは盛大な勘違いです。確かにクラスの中でもっとも会話をする男子ですが、
それは席が隣だからです」

「そっかぁ~。うんうん、良かったわ」

「ふあぁ……安心したら眠くなって来ちゃった」

「基本的に自分からは話しかけませんし、
藤森さんや奈瀬さんと会話する時間の方が多いかと」

「里沙さんは一方的に話しかけてくることがほとんどですが、
まあ……それも嫌ではありませんし」

「ですから――」

「すぅ、すぅ……」

「…………」

「……これも、いわゆる寝オチの部類にはいるのでしょうか」

「どうなんだろうね~」

「ふう……今回はここまでのようですね。ではまた次回に――次回は私ではありませんよ」

「くぅ、くぅ……」

「はあ……やれやれですね。こんなところで熟睡なんて」


「…………寝る子は育つ」


「むにゃむにゃ」

「別に、私はこれ以上成長しなくとも構いませんが……」


「……くっ」